【気になる疑問】は、身近な疑問についてシンプルに答えていくシリーズです。
今回の疑問はこちらです。
「私の職場に、仕事でのミスが多くなった同僚がいます。忘れることも多くなって。以前はそんなことはありませんでした。まだ、認知症になる年齢でもないし。若い人って認知症になるんですか?」(埼玉県・50代女性)
確かな根拠を基にみていきましょう。
※この記事は、医師監修の下、適切な情報に基づいて作成されています。具体的な情報源に関しては、本記事下部の「参考情報」をご確認ください。
認知症は「若くても」なる(若年性認知症)
認知症は、一般的には高齢者に多い病気です。
しかし、若くても認知症になることがわかっており、65歳未満で発症した認知症を特に「若年性認知症」と呼びます。
若年性認知症は日本全体で「3万人以上」いる
若年性認知症の方は日本にどのくらいいるのでしょうか。
令和2年度に発表された調査では、全国に35,700人ほど若年性認知症の方がいると推計されました1。
非高年齢者(18-64歳)人口における有病率で考えると、10万人あたり約51人2です。
これを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれですが、数十人・数百人の規模ではないという事実があります。
約20%は「50歳未満」
若年性認知症に気づいた年齢は、平均で54.4歳です1。
実は、若年性認知症のおよそ20%程度は「50歳未満」であり、また、10代・20代で発症した方も報告されています1。
若年性認知症は「気づかれにくい」
そもそも認知症は高年齢者に多いというイメージもあり、また、若年性認知症の症状も他の疾患による症状と混同しやすいこともあることから、気づかれにくいことが多くあります。
実際に、疲れや、更年期障害、あるいは抑うつ状態など他の病気と誤った診断がなされ、認知症の症状が目立つようになってからようやく診断された例も少なくないとされています3。
若年性認知症の現状
それでは、若年性認知症の症状や原因などについてみてみましょう。
1.最初の症状は「もの忘れ」が最多
若年性認知症に気づいたきっかけとなる症状はどのようなものがあるのでしょうか。
下に挙げたものが、上位4つの症状です1。
- 「もの忘れが多くなった」(66.6%)
- 「職場や家事などでミスが多くなった」(38.8%)
- 「怒りっぽくなった」(23.2%)
- 「何事にもやる気がなくなった」(22.6%)
「もの忘れ」は認知症の典型的な症状ですが、それ以外の症状からはあまり認知症を思い浮かべないかもしれません。
また、認知症に特徴的な症状ではないため、一見するとわかりにくい症状です。これも若年性認知症が「気づかれにくい」一因となっている可能性があります。
2.原因の半数以上が「アルツハイマー型認知症」
若年性認知症の原因は多くの人が気になるところでしょう。原因疾患は以下の通りです1。
- アルツハイマー型認知症57.3%
- 血管性認知症15.5%
- 前頭側頭型認知症10.0%
- レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症4.1%
- 外傷による認知症2.8%
- アルコール関連障害による認知症2.5%
- 脳炎による認知症0.7%
この結果をみると、アルツハイマー型認知症が半数以上を占めていることがわかります。高年齢者の認知症と最多の原因は同一です。
3.「仕事の継続」に影響する可能性がある
若年性認知症は、高年齢者の認知症と同様に「日常生活に支障」を来たします。これはつまり、家庭や仕事にも影響が及ぶ可能性があるということ。
令和2年度に発表された調査では、発症時に就労していた人は全体で59.0%でしたが、調査時に発症前と同じ職場で働いている人は7.1%、退職した人は64.9%、解雇された人は5.2%であり、若年性認知症発症後、多くの人は退職しているという状況でした1。
4.「収入の減少」に直面する可能性がある
仕事に影響が及ぶということは、収入にも影響する可能性が考えられます。
実際に、若年性認知症を発症してから、57.4%の人が「収入が減った」と感じていました(令和2年度に発表された調査)1。
収入の減少は、日々の生活に大きく関わってくるため、非常に重要な事実です。
若年性認知症の予防は「若年性ではない認知症と同じ」
若年性認知症の現状を知ると、
「若年性認知症になりたくない」
「若年性認知症を防ぐにはどうすればいい?」
このように思う方も多いでしょう。
その答えは、先に示す若年性認知症の原因にあります。
注目すべきは、若年性認知症の2大疾患であるアルツハイマー型認知症・血管性認知症は予防できるということです。これらを合わせると原因の70%超を占めていますので、これらに対策するだけでも、若年性認知症に対して、非常に効果的な予防ができることになります。
- アルツハイマー型認知症57.3%
- 血管性認知症15.5%
さらに注目すべきことは、若年性「じゃない」高年齢者の認知症と予防法は変わらないということ。
なぜなら、若年性じゃない認知症の2大疾患もアルツハイマー型認知症・血管性認知症だから。
つまり「認知症への予防」は、若年性認知症の予防の鍵でもあるのです。認知症の予防は下の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
最後にー若いうちからの認知症対策が、あなたの将来を変える
認知症は高年齢(65歳以上)のみならず、それより若くても、10代・20代・30代でも発症しうることが日本の調査から明らかになりました1。
ですが、やみくもに不安になる必要はありません。
なぜなら、高年齢者の認知症と対策は同じだからです。
若年性認知症になりたくなければ、出来るだけ早くから認知症対策を始めること、これが皆さんのすべき唯一のことです。
最後に、若年性認知症について、より詳しく知りたい方は、厚生労働省のウェブページをご覧ください4。
参考情報
- 「わが国における若年性認知症有病率・生活実態調査把握」に関する調査研究報告書 (地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001324265.pdf ↩︎
- 若年性認知症実態調査結果概要 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001324264.pdf ↩︎
- 若年性認知症ハンドブック https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001324257.pdf ↩︎
- 認知症施策関連ガイドライン(手引き等)、取組事例(若年性認知症) 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000167853.html ↩︎

