【医師監修】病気予防で得られる「5つのメリット」

予防

「病気を未然に防ぐ」

「病気にならないようにする」

なぜ、このことが私たちにとって大切なのでしょうか。そして、どんな価値をもたらすのでしょうか。

ここで言う「病気の予防」とは、一般的に数日で徐々に回復する「かぜ(症候群)」や「インフルエンザ」など「急性(一過性)」の病気というよりも、ダイアベティス注1)(糖尿病)、脳卒中など「慢性(かかると治癒が難しく、継続的な加療が必要になることが多い)」の病気の予防のことです。

病気を予防することで得られるメリットは様々ありますが、この記事ではメリットを5つにまとめて解説しています。

「病気予防に興味関心がある」という人も、「病気予防がなぜ重要なのかよく分からない」という人も、病気予防のメリットを再確認して、病気予防のアクションを加速させていきましょう。

※この記事は、医師監修の下、適切な情報に基づいて作成されています。具体的な情報源に関しては、本記事下部の「参考情報」をご確認ください。

注1)「糖尿病」という呼称は誤解や偏見を生む可能性があるとの懸念から、日本糖尿病協会・日本糖尿病学会は、「糖尿病」の新しいイメージを形づくる取り組みの1つとして、「糖尿病」から世界共通語のDiabetes(ダイアベティス)に呼称を変更することを提案しております。まだ、普及しているものではないため、この記事では、ダイアベティス(糖尿病)と記載します。1

病気予防の「価値」は、病気の「後」を考えると見えてくる

別の記事「病気予防の『イロハ』とポイント」にも示していますが、病気になるかならないかは「確率的(不確実)」な部分があるので、病気を予防するとは、正確には、病気のリスクを減らす(病気になる確率を減らす)ということです。したがって、具体的には、

  1. 「(病気を予防しない場合と比べて、予防することで)かかる病気を減らす」
  2. 「(病気を予防しない場合と比べて、予防することで)病気が発症する年齢を遅らせる」

ということになります(全ての病気に絶対ならないということではありません)。

病気を予防するメリットは、実は、「かかる病気を減らす」「発症する年齢を遅らせる」ということだけではありません

「元気」「健康」な時は、なかなか考える機会がないかと思いますが、病気を予防する「本当の価値」、その意義は、病気になった後のことを想像すると明らかになります

病気を予防する「真の価値」とは何なのか、「病気を予防することで得られる5つのメリット」を1つずつ、見ていきましょう。

1.「合併症や後遺症」を防ぐことができる

with medical conditions-2
with medical conditions-1

身近にある急性(一過性)の病気として、「かぜ(症候群)」を例に考えてみましょう。

「かぜ(症候群)」は、一般的にはウイルスが鼻〜のど(鼻腔〜喉頭までの上気道と呼ばれる部分)に感染し、炎症を起こす病気です2

  • 鼻に炎症が起きれば、鼻水(鼻汁)や鼻づまり(鼻閉)が生じ、
  • のどに炎症が起きれば、のどの痛み(咽頭痛)やものを飲み込んだ時の違和感(嚥下時違和感)、咳などの症状が出現します。
  • 時に、発熱や頭痛、からだのだるさ(全身倦怠感)を起こすこともあります。

しかし、多くの場合は一過性であり、数日〜1,2週間で自然に治癒して、元の生活に戻ることができますので、後々まで症状が残ることは殆どありません。

「あの時はちょっと辛かったけど、今は何でもないな」

「そういえば、体調を崩した時があったような」

時とともに、当時の記憶は薄れ、また、いつも通りの生活を送っていることでしょう。

実は、このような日・週単位で症状が落ち着く「急性」疾患と異なり、

慢性疾患別名、非感染性疾患と呼ばれるダイアベティス(糖尿病)、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)など多くの病気)では、その病気自体もさることながら、病気になった後で「合併症や後遺症」が生じることがあり、これが私たちの日々の生活に支障をきたすことがあるのです。

合併症はある病気になった後に、その病気が原因で新たな病気になることです。ダイアベティス(糖尿病)の合併症を例として挙げると、

「ダイアベティス(糖尿病)の加療をしていたが、スマホやテレビの画面が見えにくくなり相談したところ、糖尿病網膜症と診断された」

「ダイアベティス(糖尿病)で加療中、ある日、突然、話しづらくなり、病院で脳梗塞と診断された」

などがあります3

後遺症は、ある病気になった後で残存する症状のこと。例えば、

「脳梗塞になり入院したが、退院後も、話しづらさや歩きづらさが残っており、リハビリテーションを行なっている」

などです4

ちなみに、このような合併症・後遺症は、「病気の伴う」合併症・後遺症のみならず「薬や手術に伴う」合併症・後遺症も考える必要があります。

病気(主に慢性疾患(非感染性疾患))を予防することができれば、当然、合併症や後遺症が出現することはないため、それに伴う種々の症状や生活への影響も減らすことが出来るのです。

2.薬に関わる「不安や心配」が減る

pleasure, no concerns

病気になると、その加療のため、薬を用いることが多くあります。

市販薬の「添付文書」を見ればわかるように、薬には禁忌(薬を使用してはいけない条件)や副作用(薬による好ましくない作用)がつきものです。からだに作用する以上、目的とする効果だけもたらすのは難しく、何らかの副作用を念頭に置く必要があります。

例えば、市販されている抗アレルギー薬には、

【してはいけないこと(禁忌)】として、

  • その薬やその薬に含まれる成分によるアレルギー症状を起こしたことがある人は服用しない
  • 同様の成分を含むかぜ薬・催眠鎮静薬(いわゆる睡眠改善薬など)・咳止めなどを服用している人は服用しない
  • 服用前後の飲酒はしない

と記載されていたり、

【相談すること(副作用の可能性)】として、

  • 頭がボーッとする
  • 頻尿、排尿困難
  • (重篤)ショック・肝機能障害

が記されていたりします。

もちろん、これらが全員に現れるわけではなく、効果のメリットが上回るために薬として認可されているわけですが、このようなマイナスの影響がゼロとは言えないわけです。

病院やクリニックで処方される薬は、市販されている薬と比べて一般的に効果も大きい分、副作用も程度や頻度が大きくなり、さらには、一度このような症状が出現してしまうと、薬が使えなくなってしまい加療の選択肢が狭まってしまうこともあります。

病気を予防すれば、当然、このような薬に関わる心配をしなくてよいことになります。

また、ここでは詳しく述べませんが、病気や薬が複数ある状態(多疾患併存(マルチモビディティ)や多剤併用(ポリファーマシー)と呼ばれます5)では、それだけでデメリットが増えることもわかっていますので、たとえ、病気がゼロにならなかったとしても、病気を予防し、なる病気の数を減らすことはそれだけでも意味があることと言えるでしょう。

3.病気に関する「出費」が減る(好きなことに使える「お金」が増える)

shopping

病気を加療するには「お金」が必要です。診察料、検査料、処置代、薬代。通院するにも入院するにも、都度、出費があります。

例えば、ダイアベティス(糖尿病)では3割負担だとしても毎年万単位を要し、がんの年間医療費は3桁万円と報告されています6。もちろん、これらも病気の程度や治療内容で大きく変動します。

病気を予防できれば、このような「出費」が減り、自分の趣味や好きなことなど、他のことに費やすことが出来る「お金」が増えるのです。

4.病気に費やす「時間」が減る(好きなことに使える「時間」が増える)

traveling

私たちにとって1日は24時間です。

そのうち、およそ1/3くらいは睡眠に費やしていますので7、活動できる時間は残りの16時間程度になります。

そして、日々の食事・通勤・仕事・入浴の時間を考えると、自由に使える時間はさらに限られています。

「平日に自由な時間はほとんどなくて、休日に取れるだけ」と言う人も多いのではないでしょうか。

そのような限りある時間をどのように使えるかは、とても大切です。

病気になり、診察・通院・入院が必要になれば、その分の時間も必要になります。診察における待ち時間や、その後、薬を受け取るまでの待ち時間もあります。また、病気が増えたり、薬が増えるとその分、病気に関わる時間も増えます。

病気を予防することができれば、このような時間を自分の好きなことに充てることができるのです。

充てることができるというよりも、今、自分が好きなことに費やしている時間を、そのままより長く続けることができる、といった方が正しいかもしれません。

いずれにしても、病気の予防は、私たちの大切な時間にもプラスの影響をもたらします

5.病気の「日々への影響」が少なくなる(今のような毎日を長く続けられる)

lovely life

なる病気が少なければ、飲むべき薬も少なくて済む。そして、病気に費やすお金も時間も少額になる。

「病気・薬・病気に関する時間とお金」が少なければ少ないほど、日々の生活は自分らしく充実したものになることは、想像に難くないでしょう。

そして、このことは私たちの体だけではなく、心(メンタルヘルス)にもプラスの影響をもたらします8

元気なうち、健康なうちから、病気にならないように病気を予防して、今の日々を長く続ける

病気が少ないうちから、病気が多くならないように病気を予防して、今の日常を長く続ける

自分らしい充実した日々を長く続けるために、得られるメリットを今一度、振り返りながら、病気予防に取り組んでいきましょう。

↓病気予防のポイントについてまとめた、こちらの記事もオススメです。

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参考情報

  1. 日本糖尿病学会・日本糖尿病協会合同 アドボカシー活動https://www.nittokyo.or.jp/modules/about/index.php?content_id=46(accessed June 13, 2024)  ↩︎
  2. かぜ症候群 一般社団法人 日本呼吸器学会 https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-01.html(accessed June 25, 2024). ↩︎
  3. 糖尿病合併症について 一般社団法人 日本糖尿病学会https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3(accessed June 25, 2024) ↩︎
  4. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕 一般社団法人 日本脳卒中学会 https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf(accessed June 25, 2024)  ↩︎
  5. Johnston MC, Crilly M, Black C, Prescott GJ, Mercer SW. Defining and measuring multimorbidity: A systematic review of systematic reviews. Eur J Public Health 2019; 29: 182–9.Masnoon N, Shakib S, Kalisch-Ellett L, Caughey GE. What is polypharmacy? A systematic review of definitions. BMC Geriatr 2017; 17: 230.
    Pazan F, Wehling M. Polypharmacy in older adults: a narrative review of definitions, epidemiology and consequences. Eur Geriatr Med 2021; 12: 443–52.
    ↩︎
  6. 糖尿病になったらいくらかかる?. 創新社. https://dm-net.co.jp/seido/02/(accessed June 25, 2024)., 発がんリスクの低減に資する効果的な禁煙推進のための環境整備と支援方策の開発ならびに普及のための制度化に関する研究 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究  https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/22511(accessed May 24, 2024). ↩︎
  7. OECD gender data portal 2021https://www.oecd.org/gender/data/OECD_1564_TUSupdatePortal.xlsx(accessed June 25, 2024). ↩︎
  8. 健康意識に関する調査. 厚⽣労働省. 2014; published online Aug. https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/002.pdf, 「満⾜度‧⽣活の質に関する調査報告書2022」内閣府 https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/pdf/report06.pdf(accessed June 25, 2024) ↩︎